読むことの意識が変わった話

ここ数年で、ものを読む姿勢が変わったというか、いろいろ感ずることが多くなった。
なぜかというと、おそらく、私自身が色々経験するようになったからだと思う。仕事も仕事以外のことも、厳しいことも含めて。

たとえば数年前の10月に、天神のパルコで漫画を買って読んだことをよく覚えている。史群アル仙の『臆病の穴』とかを読んだ。作品の内容よりも、読んだということ自体が印象に残っている。
なぜかというと、その時は主催のイベントが近かったから。プレッシャーに追い詰められるように、いわば現実逃避のために読んだ。当時は人の間にたってものごとをすすめることを初めてやっていたので、私は困惑していた。

学生の時には本当に困ったことがあったら話を聞いてくれる人がいたけれど、自分や周りが歳を取って生活のうちに労働の割合が高くなってくると、なんでもすぐに頼るわけにもいかない。それに守秘義務もある。
漫画を買って読むという行為はいつもどおりだったけれど、気持ち的には切羽詰まっている状況だった。

(漫画を買ってその足で飲食店に入って読んだ)店を出るころには不安は落ち着いていた。漫画を読んでも何も問題は解決しないといえばそうだけれども。創作物は人のエネルギーによって作られている。それに触れるというだけで、気持ちを切り替えられることもある。

あの時に初めて私は、純粋に「読む」ということ自体に救われたという感覚があった。

新しいことを経験していると、現実からの情報も創作物からの情報も、刺激に敏感になる。
色んなことをやってみることで、「読む」ということへの感覚が変わってきたのなら、それが収穫だと今は思っている。