『メタモルフォーゼの縁側』

『メタモルフォーゼの縁側』のタイトルが素晴らしいよって話をします。

メタモルフォーゼとは、変身・変態という意味です。

作品中で描かれているのは、ふたりの人間関係(身近な男性や家族、友人との関係)です。雪は3年前に夫を亡くしており、うららは趣味を共有する友人を持たず幼馴染の男子とも以前ほど親密ではありません。そんななか、ふたりはどこかで寂しさを感じています(この描写がとてもとても良いのですが、その話はまた今度)。

ところが、BLを介した意外な出会いによって、わくわくする出来事が次々と起こります。年齢が離れた二人が友人となるという奇跡が起きることで、それぞれの生活にもドラマが発生するのです。

彼女らの出会いによって起こる出来事は、高揚感があるもののあくまで穏やかさを基調としています。タイトルの「縁側」の暗示するものは「日常」「穏やかさ」だと思います。
「メタモルフォーゼの縁側」は、自己が変化するための瑞々しい生命力と、地に足のついた穏やかな生活力の両方を感じさせる、この作品にぴったりのタイトルだと思います。

 

補足 2巻以降の展開の予想ですが、1巻では二人の日常が変化したところまでですので、それぞれが他の人と新しい人間関係をつくっていくことになるだろうと思います。期待しています。

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批評を勉強したい…ということで、廣野由美子『批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義』を参考にしています。
本記事と関連する同書の項目としては「イメジャリー」「反復」になるかと思います。