自分の人生を象徴する漫画4作品

ハッシュタグ #自分を作り上げた漫画4選 の派生として、私の人生を象徴する漫画4作品について語ります。

私の思考や感性に変化を与えたというものもありますし、当時の私にとって強く共感できたというものもあります。

漫画は私の人生に影響を与えたメディアのひとつですが、特に、オタク的感性の下地が養われた幼少期と、リアルで漫画愛を熱心に語れる機会を得た昨年~現在における存在感は大きいです。

人生の時々で夢中になった作品や一押しの作品はありますが、自分の現在地にぴったりはまったり、次の場所へ連れていってくれたりする作品というのは、稀有なものです。


9歳の私にとって人生で最大の衝撃が『ブラック・ジャック』の読書体験でした。

 担任の先生が学級文庫として手塚漫画を教室に設置していたのがきっかけ。それまで私が触れたことのないリアリスティックな漫画でした。
信条を以って仕事を成し、法外な対価を要求し、清算しなければならない過去を背負っている。主人公でありながら違法行為を行い時に人を切り捨てる冷徹さ。人命や自然の尊さを知り、実際にそうしたものを守る力。その存在の裏腹さ。
私はこれほどに誇りを持ち、倫理観のせめぎ合いを生きる孤独な人物を知りませんでした。彼の物語は、苦しみと愛のドラマでした。私もどこかで知っていたけれど言葉にしたこともないし誰とも共有したこともない種類の苦しみ、あるいは、私が知らなかったけれどもこの世のどこかに存在する矛盾、そういうものがここに表現されていました。
はじめて、フィクションとリアルの境がなくなるかのような勢いで漫画に夢中になった頃でした。ゴリゴリに情操教育されました。


 高校生の時には、人と違うものを好きになりたがっていたと思います。

 『おやすみプンプン』は小学生編、2巻の廃工場を冒険する話?が最も好きです(作品の後半のほうはあまり印象にない)。
家、親、学校、先生、友達、クラスメイトがほぼイコール世界の全ての頃。また私の場合は塾や習い事がほぼ無く、街に遊びにいくこともなく、人付き合いもおっくうで、フィールドが狭い側(と言ってよいと思う)に属する思春期でした。浅野いにおの作品は周囲に覚える気持ち悪さ、自分という存在の居心地悪さをうまく表現されていると思います。どこかおかしな大人たちや、プンプンを狂わせる愛子ちゃん、不安でいっぱいだけれどきらきらした世界にノスタルジーを感じるのです。


 テイストは全く違いますが『げんしけん』に憧れたのも『プンプン』と近い時期だったと思います。

げんしけん(1) (アフタヌーンコミックス)

げんしけん(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 『げんしけん』に憧れて大学で文芸部に入りました。以上。

一行じゃあんまりなのでもう少し言うと、笹原と荻上のカップル成立までの過程、および笹原はじめてのコミケの描写に当時憧れました(今読んだら、班目の片思いももっと違う見方になるかも)。「私もこうなりたい」って思ってましたね。
上記2作品とテンションは違うけれども、思い入れは同様に深いです。卑近な憧れを生んだのも、木尾士目のコミュニケーション描写が優れているからだと思います。キャラの抱えた卑屈さや泥臭さを否定しないままに成長というか変化を生み出すところが、素直に受け入れられた要素かもしれません。行動すれば世界は開けるし楽しく付き合える人たちはいるよっていう明るいメッセージを受け取ったと思います。多分。
大学に入ってから人生変わりました。

 いまは28歳で、ちゃんと生活していることに驚くとともに、自分にはまだまだ可能性があるっていう希望&不安がちらつきながら、(友人関係も仕事関係も)人と付き合いながら生きていくんだってことの実感が出てきているところで。

東京心中(上) (EDGE COMIX)

東京心中(上) (EDGE COMIX)

 

 『東京心中』の安定感がしっくりきます。好きな人と生活していくっていうことと、映画を求めてもがき続けるってことを、適切な温度感で描いてくれる。肩の力は抜いて良いけど自分の大切なものは忘れない。愛しさや発見は日常のなかにある。宮坂と矢野さんが築いていく生活、こういうものが在るならば、私の人生もきっと悪くないと思える。このまま自分が変わらないんじゃないかって恐れとか、もう一生何もしたくないって怠惰とか、そういうものが少し小さくなる気がする。

以上4作品でした。
素晴らしい漫画(や色んなフィクション)を見出すために生きている。これからも素敵な出会いがありますように。